Sarde in saor サルデ・イン・サオール
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サオールとは、玉ねぎをベースとするマリネのこと。船乗りや漁民が多かったヴェネチアで、保存がきき、船内病を予防する栄養素が含まれた料理として食べられてきた伝統的な食べ物です。玉ねぎをゆっくり炒めてお酢を加えソースとし、揚げた鰯を漬ける、とってもシンプルなレシピ。とはいえ、白ワインを加えたり、お酢の分量や玉ねぎの火の通し方、それぞれに強いこだわりがあって、みんなが「うちのが一番!」と思っている。
ヴェネチア料理と言えば、まず「サルデ・イン・サオール」と思ってイタリアに経ったのですが、口にしたのは2週間後。最初のホームステイ先Mogliano Venetoでの最後の晩餐でした。私の住み込み個人レッスンに加えて、夜はイタリア人向けの料理教室を開いているそのステイ先は、起きて朝ご飯を食べると料理教室の買い出し、食材の下処理、自分のレッスン、試食を兼ねた昼食、少しの休憩があって、夜の料理教室準備、教室の参加(裏方と夕食を兼ねる)、その後に山と残った洗い物をやっつけて、その日一日分の胃袋と神経を使い果たして寝る毎日。ステイ先の主かつ私の講師であるマンマに加え、夜の料理教室はホテルのシェフやパティシエが呼ばれ、洗練されたおもてなし向きの料理が多かったから、マンマの家族だけが集まった最後の晩餐に並んだ品々は、サルデ・イン・サオール、ヒコイワシの酢漬け、ビーゴイ・イン・サルサ、魚介のフライ、イカの墨煮、クレマ・ディ・フリット(カスタードクリームのフライ)と、「ザ!ヴェネチア」の伝統料理がととのい、ヴェネト料理遊学の幕がようやく切って落とされた気がしたのでした。
その後、何皿のサルデ・イン・サオールを平らげたのでしょうか。


やっと出会えたMogliano Venetoでのサルデ・イン・サオール。そうかぁ、これがサルデ・イン・サオールかぁ・・・と感慨もひとしおでした。



